朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「どうするか……夢だったら醒めたくない……目が覚めたら咲桜がいないとか……」
ほ、本気で悩んでいる。
腕を伸ばした。ぎゅっと、流夜くんの首に廻して抱き付く。
「さ、お……?」
「私だよ。幻でも夢でもない。……ちゃんといるよ」
言葉にすると、抱きしめ返された。
「ああ……咲桜だ」
きつく抱きしめ合い、存在を確認する。
流夜くんだ。
咲桜だ。
本当に、腕の中にいる。
「ありがとう」
「うん……」
流夜くんの腕が緩んだので、少しだけ身体を離した。
すると、次の瞬間には抱き上げられていた。
姫抱っこ。