朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「わっ、流夜くんっ?」
「もう少し、傍にいさせてくれ」
にっと笑みを見せた流夜くん。何度も見ているカオにドキッとした。
傍にいる、それは同じ空間に、ではなく触れ合える距離という意味だと、さすがにわかっている。
流夜くんはローソファに私をおろして、自分も隣に座った。
そのまま抱き寄せて、肩口に額を押し付ける。
「……お疲れ様」
「本当に疲れた……降渡と吹雪、呪う」
素顔をさらす羽目になったこと、相当後悔しているようだ。
「でも……やっぱり流夜くんってカッコいいんだよね」
流夜くんの背中と頭それぞれに手を廻し、ポンポン叩く。
甘えてくる流夜くんが可愛くて仕方ない。
「そんなの、咲桜だけ思っていてくれればいい」