朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


……その言葉は嬉しいけど、いかんせん、流夜くんがカッコいいのは本当なんだ。


元々見せていた優しい性格で、一部の生徒からは好意的に見られていた。


悔しいけど、優しいのも本当だ。


今はわざと冷たくあたっているけど――それだけで、流夜くんに興味を持った人たちが引くとは思えない。


「やっぱツラ見せんじゃなかった……。桜庭のことがばれても隠し通せばよかった……」
 

ばれてもと言っても、流夜くんの履歴書に嘘はないから、他の先生たちが気付かなかっただけみたいなんだけど。


「……今、訊いてもいい?」


「なんだ?」


「警察の人には……ならないの?」


「今んとこなる気はない。絶対になりたくないわけじゃなけど、警察には吹雪がいるし、探偵の立場には降渡がいる。龍さんの後継には十分だろう。今更俺がそっちに首突っ込むことはない」

< 142 / 295 >

この作品をシェア

pagetop