朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「心配しなくても蒼から聞いてるよ。流夜と一緒に城葉に来たんだろ?」


「え?」
 

私は、今度は青年を見返す。


今、誰の名前が出て来た? 蒼さんに……流夜くん?


「はじめまして。華取咲桜さん。流夜の古馴染です」


「………え?」
 

今、自分の名前? 私は何度も瞬く。


「衛くん、色々経緯すっ飛ばしてるよ。蒼くんから咲桜さんのことは聞いてるんです。わたしたち、桜学の元Pクラス生で、流夜くんを桜学にお誘いしてる神林蒼くんの同期です」


『………』
 

私と笑満、揃って瞬いた。


私……たち? そう言ったのは小柄な少女。青年と同い年だったのか。
 

神林蒼さんは、私立の名門桜宮学園の教師で、流夜くんに桜学への転属を要請している人だ。


私は以前、流夜くんに紹介してもらっている。

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