朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
通話が終わる。幸せ報告だけでは終わらなかった。
自分が浸るような甘さの中にいたころ、笑満は一人思い悩んでいたのかもしれない。
至らない自分が歯痒かった。笑満のおかげで、大切な時間を過ごすことが出来た。
じゃあ、自分に何が出来る? 笑満と、笑満の大切な人のために―――
「たぶん、頼り時」
「……え?」
登校するとすでに、頼が机で寝ていた。
その隣、窓枠に腰かけて頭の中を整理していると、頼からそんな声がした。
寝ていたと思っていた頼が重たそーな瞼を半分持ち上げて、こちらを見ていた。
「誰かさん」
欠伸とともに言われた、その言い方ではっきりとわかった。
次の瞬間にはこてんとまた、机にへばりついていた。
ちなみにこの学年主席、こんな授業態度なくせに遅刻欠席は一回もない。