朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「衛くん、救急車呼びます! 彼女への聴取は回復を待ってください」
「わかった。――やっと来たか」
駆けつけた交番の警官が加わって、規制が始まる。
私と笑満は尊さんに支えらえた女性の方へ駆け寄る。
「尊さん、何か出来ることは」
問うと、尊さんは鋭い眼差しで肯いた。
「咲桜さん、彼女を支えてあげてて。出来るだけ動かさないように。笑満さん、手を握っててあげて。圧迫はしないように。処置はわたしがします。救急車、今来ますから」
尊さんがバッグの中から大きなタオルやらを取り出していると、先輩がやってきた。
「笑満ちゃん、俺、衛さんと一緒に行くから、尊さんに付き添ってあげてもらってもいい?」
「わかった。気を付けてね」
「ん。咲桜も、頼んだよ」
「はい」
私たちが肯くと、先輩はすぐに戻って行った。