朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「ミナ……」
 

小さな声が聞こえて、やっと私はその女性に気づいた。


腰を抜かしてしまったように蒼い顔で座り込んでいる女性が、揺れる瞳で私の腕に支えられる女性を見ている。


「あなた、お友達ですか?」
 

尊さんが処置の腕を止めずに訊ねる。


「はい……ミナ、大丈夫なんですか?」


「わたしは医者です。できることは全部します。出血が多いですね……彼女の血液型、わかりますか? 病院で輸血の準備をしてもらわないと」


「は、はい……でも、ミナって……ボン……なんとかタイプって……」
 

瞬間、尊さんの手が停まった。


「もしかして……ボンベイタイプ?」


「そ、それです」


「………」
 

返事を聞いて、尊さんは悔しそうに顔を歪めた。

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