朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
ボンベイタイプ――百万人に一人の割合の、珍しい血液型だ。
当然、輸血のストックも病院によってはないところもあるほどと聞く。
尊さんの表情の意味がわかった私は、すぐさま答えた。
「私から取ってください。私もボンベイタイプです」
尊さんが驚いたように顔を跳ね上げた。
「本当?」
「はい。今までも、輸血用に提供したことがあります。少しくらい多くとってもらっても構いません」
「――わかりました。感謝します。では、咲桜さんと――笑満さんも、病院へ同行してもらえますか? わたしも一人、タイプの心当たりがあるので、来るよう連絡しますので」
『はい』