朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「すごい偶然だよね。たまたま居合わせた咲桜が同じ血液型だったってさ。日本には五十人もいないんでしょ」
「そう言われてるみたいだね。日本って島国なのも相まって。……ねえ、さっきのって、事件?」
「そう、みたい……でも、さっきの人――ミナさんとは面識ない人みたいだよ。お友達が知ってる限りでは。通り魔的犯行、ってやつみたい」
「……そっか。命が無事なら、よかった」
「ね。咲桜もがんばった」
えらいえらい、と笑満が私の頭を撫でる。
「でもほんと偶然だよね。せんせ――流夜くんも、咲桜と同じ血液型なんてさ」
「………そうなの?」
「あ、知らなかった? 尊さんが言ってた心当たりって流夜くんなんだって。すぐ駆けつけてくれたよ。さっきまで流夜くんもここにいたんだけど、遙音くんが刑事さんたちと一緒にこっち来て、流夜くんもそっちの方で話してる」
「………」
それはまた偶然。