朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「流夜くん、咲桜が貧血で倒れたって聞いたら蒼い顔になっちゃって、尊さんが驚いてたよ。流夜くんの無表情以外のカオ、初めて見たって」
「………ほんと流夜くんってどんな学生だったんだろ」
踏み込んでいいのか、ものすごく迷うところだ。
「今、尊さん呼んでくるね。咲桜が起きたら呼んでって言われてるから」
「あ、うん」
「待っててね。あ、あと在義パパもこっち来るって連絡あったよ。事件になりそうで、咲桜も関係者になるから、現状把握も兼ねて迎えに来てくれるって」
「……迷惑かけちゃうなあ」
「そんなことないって。咲桜がしたのは人命救助なんだから。咲桜にしか出来ない、さ」
横になっててね、と残して笑満は病室を出た。
ふーと長く息を吐く。
なんか……状況に頭がついていけていない。
あの女性が助かったことだけ、よかった。