朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「なんで、すか……今の話……なんか、声聞こえて来て……知ってる、声だったから、来たんです、けど………」
「咲桜、何も話さなくていい」
在義父さんが必死に制止をかけるけど、瞬きすらしない出来ない私の声は続く。
「わたし……かあさん……桃子、母さんは、みるこさん、なんですか? それに、もう一つ、おやこ関係、って――――」
「咲桜‼ 口にするんじゃない!」
「あ…………あああああああああああああああああああああ!」
頭を抱えて、絶叫した。
身体から力が抜けて、足が崩れた。
抱き留めた父さんが怒っているのがわかる。
でも、それ以上にわかる。わかってしまったのは、自分の出自だと。
「咲桜、咲桜!」
「いやあああああああああああああああああああああ!」
心なんて壊れてしまえ。現実なんていらない。
私の命が……血が、あなたから総てを奪った理由でしかない世界なんて。
「咲桜」