朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「なんで、すか……今の話……なんか、声聞こえて来て……知ってる、声だったから、来たんです、けど………」


「咲桜、何も話さなくていい」
 

在義父さんが必死に制止をかけるけど、瞬きすらしない出来ない私の声は続く。


「わたし……かあさん……桃子、母さんは、みるこさん、なんですか? それに、もう一つ、おやこ関係、って――――」


「咲桜‼ 口にするんじゃない!」


「あ…………あああああああああああああああああああああ!」
 

頭を抱えて、絶叫した。


身体から力が抜けて、足が崩れた。


抱き留めた父さんが怒っているのがわかる。


でも、それ以上にわかる。わかってしまったのは、自分の出自だと。


「咲桜、咲桜!」


「いやあああああああああああああああああああああ!」
 

心なんて壊れてしまえ。現実なんていらない。


私の命が……血が、あなたから総てを奪った理由でしかない世界なんて。


「咲桜」

< 163 / 295 >

この作品をシェア

pagetop