朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「え? いえ、それは大丈夫――……笑満のために、何かする気なの?」
「少しな。用事が出来るから、行けないし来てもらえないけど、心配するな」
そっと、流夜くんが身を屈めてきた。
「りゅ―――」
「……教えてくれてありがとう。お礼」
「―――」
なぜそうさらっと―――お礼?
「ま、まさか頼にもこんなお礼を――
「しねーよ。どうしてお前はそう思考回路がぶっ飛ぶ」
泡喰って手をわたわたさせると、流夜くんは呆れいっぱいの顔をした。
「あのっ、でもお礼言われるようなことしてないよ――?」
「うん? まあ、こちらの話というか……何のために俺ら三人、揃ったまんまでいると思ってんだか、あのガキは」
「……?」
「まだまだガキなんだから、親代わりだろうが頼れっていうこと」
流夜くんは苦笑いした。続いて、私の左手を取った。