朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「………」
名前を呼ばれたことはわかった。
緩慢な動作で声の方を見る。
吹雪が仁王立ちしていた。
「今、辛いのは誰?」
「………」
「流夜だよね」
「………」
「咲桜ちゃんだよね」
「………」
「在義さんでもあるし、夜々子さんでもあるし、笑満ちゃんでもあるし、降渡や僕でもある」
「………」
「でも、在義さんも夜々子さんも笑満ちゃんも、僕も降渡も、二人が元気になったら、辛いのは終わるよ」
「………」
「流夜が辛いのは、咲桜ちゃんが辛い思いをしているからだろ? だったら、お前はどうするんだよ」