朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
いつの間にか、私が見上げる流夜くんも泣いていた。
「咲桜はきっと、俺が望んだ唯一だから。俺の幸せの象徴みたいなものだから……頼むから、死ぬことだけは望まないでくれ。……選ばないでくれ」
流夜くんの、お願い。
もしかして、それ、だったの……?
「咲桜。もっと近くにいてもいいか?」
触れるとき、何度か確認されたことがあった。
決まって私が優しい気持ちでいるときだ。
私が怒っているときは無理矢理にでも抱き寄せるくせに。
「……うん」
……ずるいね。