朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「つけててくれたんだな」
カーッと頬が熱くなる。――ったのも束の間、腕をいっぱい伸ばして流夜くんから距離を取った。
突然の拒絶に、流夜くん半瞬固まった。
「……咲桜?」
「ごめんなさいっ、あの、なんてゆうか、笑満が辛いときに私だけ嬉しいのは、なんか……苦しくて……それこそこちらの話なんだけど……」
上手く伝えられる言葉が見つからない。俯いていると、頭に大きな手が降りた。
「大丈夫。だって言ってんだろ」
少し楽しそうな流夜くんの顔。一度だけ、その笑みを閉じ込めた。
「……よろしくお願いします」
うん、と流夜くんから返事があった。
……自分に出来ることは、頼ることだけなのだろうか。
頼は流夜くんを頼る時だと教えてくれて、流夜くんもそれを是とした。
………本当に? 本当に、これしかないのかな……。