朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】



「俺がさ、学生時代にどういう風に女性と付き合ってたか、知ってるんだろ?」
 

何度も寄り添ったソファで、隣りあわせで座っている。


流夜くんの左腕が私の肩に廻り、右手は私の両手を包んでいた。


「……うん」


「それ知られたら、嫌われると思ってた」


「……どうして?」


「嫌いだろ? 咲桜。そういう、女性を無下にする奴」


「………嫌いだけど、流夜くんは嫌いじゃないから、特別枠でゆるす」


「俺もなんだ」


「え……?」


「俺も、咲桜は特別。自分から誰かを望んだのは咲桜だけだった。傍にいてほしいとか、いたいとか、そういう気持ち」


「………」


「だからな、咲桜……。俺たちはもう、桃子さんをゆるしてあげよう」

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