朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「構わない」
「構ってよ」
お願いだから。
今だけは、恋人でいさせてほしい。
世界。
誰にもゆるされなくていいから。
……今だけは、まどろみのような時間がほしい。
今だけは、これほど近くにあることを、ゆるしてほしい。
「それから……これだけは、俺の中での絶対があるんだ」
「……絶対?」
「咲桜の父親は、在義さん。母親は、桃子さん。……それだけは、今も欠片も揺らいでいない」
「……――――」
「まあ、朝間先生が咲桜の母になることはあるかもしれないけど? それは在義さん次第かな」
流夜くんが言うと、ふっと目じりを和んだ。
「…………だったら、嬉しい」