朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「なんも食ってないんだったら……粥とかのがいいのか?」
「うん……」
笑満が食べ物を勧めてくれることはあったけど、飲み物を少し口に入れただけで、それには応えられなかった。
流夜くんが現れたとき、そっと笑満が背中を押してくれた。
その勢いで、その胸に飛び込むことが出来た。
……帰ったら、笑満にも在義父さんにも夜々さんにも、謝らないといけない。
心配をかけて、ごめん。
流夜くんの許へ送り出してくれて、ありがとう。
「そう言えば最初もお粥作ったね」
「最初?」
「私がここへ来た最初。流夜くんが床に包丁付きたてたとき」
「ああ……怪我なくてよかった」
流夜くんは苦虫を噛んでいる。