朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「あのときさ、言ったでしょ? 吊り橋効果で――とか」
「言ってたな」
「どうだったのかな。……あのとき、もうすきだったのかな」
「お前は大分鈍いからな。俺はもうすきだった」
「そうなのっ?」
「そうだよ。知らないけど」
「どっち?」
「……さあな」
「むー。そういうとこ、摑みづらくするよねえ」
「俺は性格悪いから」
「そうなの?」
くすくすと笑いがこぼれる。
今だけ。今だけでいい。
……楽しい時間が、ほしい。
「ああそうだ。一つ、言い忘れてた」