朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「? なに?」
「咲桜へのお願い」
「………」
「咲桜は、これから何があっても……自分のこと、責めないでほしい」
「………」
ふいっと流夜くんを見上げる。
陽に透けるような優しい眼差しが見える。
「嫌だろ? 自分がすきな子が、誰かに嫌われたり責められたりしているのなんて。それが本人だったら、俺はすごく嫌だな」
「………」
「だから咲桜は、自分のことを嫌いになるのと、自分を責めることはしないでほしい」
「……難しいことを」
「難しくても。……お願いだ」
流夜くんに乞われて、少しだけ笑みを見せた。
「うん。がんばる」