朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
side流夜
「ああ……龍さんにはもう頼んである。埋め合わせはする。……すまないが、頼む」
電話の相手は、『いいよー。あれ関係じゃ、こっちも連帯―』と軽い声で応答し、『じゃ、ヘマすんなよー』と切った。
スマートフォン机に置いて、深く息を吐いた。
ミスの許されない謀りの準備だ。
頼むまでもない幼馴染(あいて)だが、自分『頼む』とか言っている。
……少々追い詰まっているな。
……しかし、本当に考えなかった。自分たちが遙音のような存在を傍に置くことになるとは。
遙音から突っ込んで来たから逃げようがなかっただけとも言えるが。
……違うな。逃げようなんていくらでもあった。でも、確かめてみたくなったのかもしれない。
かつて俺たちがそう感じていて、弟に告げた残酷な答えを裏切る現実があるかもしれないと。
『――――んなことばかりしてる俺らが、ロクな死に方するわけないだろ』