朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


咲桜の出生が発覚して、二人は恋人を終わりにした。


今回ばかりは神宮は、笑満ちゃんから俺にことの経緯を話すことを許していた。


きっかけの現場に居合わせた身でもあるからだろうか。
 

それでも華取さんと二宮さんの後継者という神宮の立場は変わらなかった。


その神宮を師事している俺であり、咲桜の親友の笑満ちゃんの彼氏という立場だ。


冬休み中に華取家を訪れる機会があった。


その折、朝間先生が咲桜のお隣であると知り、更に咲桜溺愛の母親代わりで神宮を目の敵にしているとも。
 

なんでそんな話が出たんだと思い――たぶん咲桜の関係で二人が逢っていたところを――あいつらが逢うなんてことをするわけがないから、出くわしたというのが正しいかもしれない――、素顔が知れたゆえに神宮だとばれたのだろう。今までだったら、夜々子先生がイケメンと一緒にいたー! とかいった騒がれ方だったろう。
 

大体、神宮の瞳に咲桜以外の女が映るわけがねえ。
 

恋人や婚約の解消を余儀なくされても、神宮は咲桜を想っている。


二人が並べば、雰囲気は前と変わらない。


そんな神宮にとって朝間先生は、いいとこ敵認定だろう。


「でさ! 神宮先生婚約者いるって公言してたじゃん? 夜々子先生だったんだよ!」
 

いや、朝間先生のお隣の咲桜だったんだ。
 

そう言い張りたいが、土台無理な話だった。

< 193 / 295 >

この作品をシェア

pagetop