朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
かなりもてるのにどうして結婚しないと謎だった朝間先生の恋愛話に、そこらじゅうが浮足立っている。
こんだけ騒がれたら……あの二人また喧嘩しそうだな……。
華取家にお邪魔したとき、神宮と朝間先生は人目もはばからず言い争っていた。
神宮と対等に言い争える存在って結構貴重。
でも、せめて学内では大人しくしてくれないだろうか。
神宮も朝間先生もいい大人なんだから。
咲桜の方は、神宮の相手が朝間先生と知れれば心配することないだろう。
朝間先生が溺愛しているのは神宮ではなく咲桜だから。
しかし、『天使』と言われるほど慕われている朝間先生の人気も、半端なものではなかった。
「夜々子先生を奪っていく罰ですよ――」
バシャっと、大きく水音が神宮に向かった。
廊下にいた生徒に声はなく、バケツが落ちる音だけが響く。
「な――んで、……お前が水被るんだよ――」
「いや、朝間先生と神宮がってとんでもねえ誤解だし――って、咲桜までぶっ被ったのかよ!」
「あ、なんか反射的に!」