朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「騒がしいと思ったら水被ったのが三人ですか。保健室に来てください。風邪をひかれては大変です」
 

静かに宣言されて、仕掛けた生徒はバツが悪そうに視線を彷徨わせる。


「あと、俺の家族がみんな死んでるの、知ってるヤツは知ってんだろ? それがまあ、事件でさ」
 

急に内容の変わった俺の言葉に、空気がざわついた。
 

笑満ちゃんが止めようとする気配がわかったけど、続ける。


「それを解決してくれたのが当時高校生の神宮たちでさ。それ以来世話んなってるから、神宮とこの前来た雲居と春芽、俺の育ての親みてーなもんなんだよ」


「え……」


「神宮たちは、自分らと関わりがあるってバレたら俺が大変だからつって、他人通すことにしたんだと。今バラしちゃったけど。言っちゃえば、俺が高校入る気になったのも神宮が教師になったからなんだけどな」

< 196 / 295 >

この作品をシェア

pagetop