朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


罪人(とがびと)を処刑椅子に追い込んだ。階段を上らせた。


法的に裁かれたゆえの結果としても、正義の名のもとにその判がくだされたとしても、犯人を挙げたのは自分たちだった。


一人で、三人で、あるいは弟と。血にまみれた世界から、最早抜け出す気などない。終生そこに居座り続ける。


――この道を選んだ、対価のようについてまわる血のにおい。
 

……正直、これだけは咲桜に知られたくはない。


いくら父を通してこちらの世界をわかっていても、来させたくはない。


触れさせたくはない。


……もっと綺麗な場所で咲いていてほしい。
 

そんな風に思う自分たちがやってきたことを、正面切って見せてくれたのは、遙音だった。
 

自分たちに解決を願ったのは犯人を挙げる組織ではなく、被害者の中で一人生き遺された子供だった。


初めてのことだった。


真っ直ぐに飛びついてきて、「助けて」と言われた。


気まぐれじゃない。確かに、この子を助けたいと思って初めて三人共闘した。
 

……自分たちで、助けられるなら。

< 20 / 295 >

この作品をシェア

pagetop