朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
罪人(とがびと)を処刑椅子に追い込んだ。階段を上らせた。
法的に裁かれたゆえの結果としても、正義の名のもとにその判がくだされたとしても、犯人を挙げたのは自分たちだった。
一人で、三人で、あるいは弟と。血にまみれた世界から、最早抜け出す気などない。終生そこに居座り続ける。
――この道を選んだ、対価のようについてまわる血のにおい。
……正直、これだけは咲桜に知られたくはない。
いくら父を通してこちらの世界をわかっていても、来させたくはない。
触れさせたくはない。
……もっと綺麗な場所で咲いていてほしい。
そんな風に思う自分たちがやってきたことを、正面切って見せてくれたのは、遙音だった。
自分たちに解決を願ったのは犯人を挙げる組織ではなく、被害者の中で一人生き遺された子供だった。
初めてのことだった。
真っ直ぐに飛びついてきて、「助けて」と言われた。
気まぐれじゃない。確かに、この子を助けたいと思って初めて三人共闘した。
……自分たちで、助けられるなら。