朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「………」
 

……流夜くんは、今の衛の話をどう思って――――


「あ、あれ?」
 

様子をうかがおうと振り返ったら、今までいた場所に流夜くんがいなかった。


「神宮? さっき出て行った」


「も、物音一つしなかった……」


「あー、あいつらそういう得意だから。隠密行動みたいなの」


「……龍生さんの教えか……」


「そういうことだな。……それからさ、俺も、笑満ちゃんと――咲桜に、話、あるんだ」


「? なに」
 

笑満が問うと、先輩は真剣な眼差しを見せた。


「俺――猫柳の苗字を、継ごうと思ってる」

< 212 / 295 >

この作品をシェア

pagetop