朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「………」
 

考える時間はある。今は高校一年生。


「吹雪さん」
 

声は凛と響く。


「ありがとう、ございました」
 

深く礼をする。吹雪さんは「うん」と答えた。


「どういたしまして」


「はい。その……これからも、よろしくお願いします」
 

私が一瞬詰まりながら言うと、吹雪さんは右手を差し出した。


握手を求める形。


「勿論。こちらこそ、よろしく。僕の戦友」


「………はい」
 

同じ道を、歩く人。ならば、そう呼んでもいいだろうか。
 

私も、あなたを。
 

手を、握り返した。

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