朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

side龍生



「遙音くん、養子にするんだって?」
 

仕事あがりで《白》へ寄っていた在義に言われて、俺は「まあな」と肯いた。


「あいつも実質独りだし、俺もここの跡継ぎいねえしな。流夜はお前んとこだし、吹雪も警察関係から動く気はなさそうだし。降渡は、こういうところは使う側の方があってんだろ」


「ごたくを並べるなよ。素直に言わないと遙音くん、色々勘違いしたり誤解したりするぞ。昔っからお前は余計なことは言う癖に言葉足らずだ」


「……あ?」
 

俺は、険を隠さない瞳で在義を見返した。


「ほしくなっただけだろう。光子以外に、家族が。――遙音くんという息子が」


「………」
 

在義はからかうように続ける。


「俺に影響されたか?」


「……さあな」
 

ったく、こいつはヒトを見透かすように言いやがって。
 

でも、そうかもしんねえな。

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