朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「―――――」


「それで……先生、まだその思いが変わってないんじゃないかな?」


「………」
 

流夜くんは私に、仕事のことは何も話さない。


斎月のことは弟とすら称して、全権信頼の関係のようなのに。


 私は流夜くんの仕事に、踏み込んだことはない。


在義父さんの仕事にも深入りしないよう育てられてきたから、そのままに倣(なら)っていた。……かもしれない。
 

斎月ほどとはいかない。でも、私からそちら側へ、行けば―――


「咲桜、提案なんだけど、今度尊さんのとこ行ってみない? 衛さんも言ってたじゃん」
 

……まだ、一人で立っている力はなかった。

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