朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「雑談するより、咲桜さんにはいいのかなーと思って」
笑満に答えて、尊さんは私を見た。
「……尊さん、流夜くんがどこにいるか、知ってるんですか?」
私の細い声が揺れながら出た。
「はい。知っています。衛くんに聞きました」
「……教えてくださいって言ったら……ダメ、ですよね、
「流夜くんは、犯研にいます。城葉にある、犯罪学研究所です」
「え……教えちゃっていいんですか?」
笑満が驚いて訊く。そんなにサラリと。
「別に口止めされてないですし。それに、流夜くんは籍を犯研の研究員――なんか室長とか押し付けられてるみたい――ですけど、一所に留まらずにいるようで、犯研に逢いに行ってもいませんから」
「……ぬかりないな、先生」
私の隣の笑満が呟いて舌打ちした。