朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「たぶん衛くんが言いたかったのは、十三に感化されろってことかなって思うんですよ」
「……じゅうさん? って、初代のPクラスのことですよね?」
笑満が疑問を返す。
「はい。正しくは初代ではないんですけどね。流夜くんたちとは、向こうが中学生の頃からの友達ですし、影響力の大きな子がたくさんいましたから、流夜くんたちの考え方のどこかにも、『私たち』がいると思うんです」
「あ――それ、吹雪さんが言ってました」
「ですか。つまりはそういうことですね」
「……どういうことですか? 吹雪さん、その、生き方は自分で選んでいいみたいなことは言ってましたけど……」
「うん。『私たち』流に言うなら、『運命は自分で決めていい』です。みんな色々あって、用意された運命や生き方なんかまっぴらごめんだ、って子ばかりだったんです」
「………」
「だから、過去のことなんか一切関係なく。咲桜さんの生きる道は、咲桜さんが決めていいんです。――決めるべきなんです。咲桜さんの命は、咲桜さんが決める運命を生きるんですから」