朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
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「こんにちはー」
「いらっしゃい。絆くんも」
「お、お邪魔しますっ」
うちへ初めて来た絆さん。動作がカクカクしている。
出迎えた在義父さんと私は、二人を中へ導く。
「絆くんはうち、初めてだよね。降渡くん、連れて来ててもよかったのに」
「そんな畏れ多いです! あ、在義様のご自宅にそんな――って言うか在義様、お仕事よろしいのですか?」
「休日だから気にしなくていいよ」
カクカクした絆さんに、在義父さんは笑みを見せた。
降渡さんがすまなそうに小さく言って来た。
「すみません、絆まだ緊張してて」
「いや。いきなりこんなおじさんの家呼ばれてもだよねえ」
「そんなこと」
朗らかに笑う在義父さんと降渡さんと違って、ガチガチに緊張している絆さんに声をかけた。
「絆さん、よかったらお料理の味見とかしてもらえませんか?」