朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

+++

「こんにちはー」


「いらっしゃい。絆くんも」


「お、お邪魔しますっ」
 

うちへ初めて来た絆さん。動作がカクカクしている。


出迎えた在義父さんと私は、二人を中へ導く。


「絆くんはうち、初めてだよね。降渡くん、連れて来ててもよかったのに」


「そんな畏れ多いです! あ、在義様のご自宅にそんな――って言うか在義様、お仕事よろしいのですか?」


「休日だから気にしなくていいよ」
 

カクカクした絆さんに、在義父さんは笑みを見せた。


降渡さんがすまなそうに小さく言って来た。


「すみません、絆まだ緊張してて」


「いや。いきなりこんなおじさんの家呼ばれてもだよねえ」


「そんなこと」
 

朗らかに笑う在義父さんと降渡さんと違って、ガチガチに緊張している絆さんに声をかけた。


「絆さん、よかったらお料理の味見とかしてもらえませんか?」

< 252 / 295 >

この作品をシェア

pagetop