朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
side在義
「………」
「………」
「………」
「……咲桜、だんだん土下座が上手くなっている娘もなかなかいないよ。そんでそんな娘の父親の哀愁もちょっと考えて」
確か今日は、咲桜たちは二年生の始業式だったはず。
玄関で土下座している娘の出迎え方に、相当困った。
「今日はお願いというか、進路相談なんです」
「座りなさい」と告げると、咲桜は場所をリビングに移して、ソファに座りなおした。
ソファの上に正座されて、また困った。なんなんだ、今日は。
「進路相談?」
「うん。――じゃなくて、はい。だから夜々さんにも来てもらいました」
「こんばんわー」
「………」
……軽く額を押さえた。ふつーに登場したよ、この幼馴染は。