朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「絆さんから教えてもらったんです。今は先輩と二人で事務所をやっているそうで。行政書士なら学歴は問われないし、場所も問わない仕事だって教わりました。――追うために、私は大学には行きません。
法律家ならば、流夜くんの仕事の、どこか役に立てるかもしれないし、どこにいようと追って行けます。
勉強が苦手とか、言い訳は通用させません。私はあの人の傍にいたいです。……結婚とか、できなくてもいいです。
ただ、一緒にいたいです。お願いします。私の父親は、在義父さんだけだから、反対しないでください」
咲桜が、深く頭を下げた。
諏訪山くんが教えたという、一つの道。行政書士。
「……それは、咲桜が選んだ道なんだね?」
「はい」
「なら、私は反対はしない。ただし」
「……はい」
「やるからには、本気で挑みなさい。言い訳が通じる相手を、咲桜は好いていないだろう?」
あの流夜くんに、言い訳なんて。
咲桜は凛とした眼差しで答えた。
「はい。ありがとうございます」
通じないだろう。さすが、俺の娘。
いばらの道を切り開いてゆけ。