朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
《白》への急な来訪者。大和斎月。流夜くんの相棒にして弟。
やばー! ここ遙音先輩いんだけど!
私が知る限り、まだ先輩と斎月の間に面識はないはずだ。
「いらっしゃいませー。咲桜の知り合い?」
案の定、カウンターの中の先輩が私に訊いて来た。
「はじめまして、夏島さん。将来的に咲桜姉様の妹です!」
ややこしいバラし方するな! そして斎月の方は先輩のこと把握済みか! やっぱりな!
先輩はきょとんとして瞬いている。
……うん、これが深い『流夜くんたちと遙音の差』か。
「咲桜ねえさま? 咲桜ってきょうだいいたっけ?」
「ええ⁉ あたし知らないんだけど! 咲桜! いつの間にそんな子が出来たの⁉ あたしに飽きたの⁉」
「そんなわけないでしょう! 私の女の子の一番は笑満だって!」
もっとややこしい誤解を生みだしている幼馴染(わたし)たちに、吹雪さんから一喝が降りた。
咲桜、笑満、頼と斎月、とばっちりで先輩まで、正座。吹雪さん仁王立ち。