朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「元・男として育てられてた正真正銘女子です」
「はっ。お前が女子名乗るのって厚かましいよね」
「吹雪さん、今の言い方は赦せないよ」
「……ごめん」
指摘した私に、吹雪さんがバツが悪そうに謝った。
それを見ながら、愉快そうに苦笑する降渡さん。斎月は拍手する。
「吹雪さんに謝らせられるなんてさすが姉様。流夜兄さんの奥方に文句なしですね」
「ちょ―――――――――っと待ったああああああああああああああ!」
笑満から盛大なストップがかけられた。
「姉様って何⁉ 先生も出てくんの⁉ 現場ってなにだし元男なの⁉」
唯一、斎月の存在に対して何の情報も持たない笑満は、情報の大洪水を起こしているようだった。
笑満が叫んだとき、斎月の肩が大袈裟ではなく跳ねたのを私は見ていた。
……斎月の女性恐怖症って本当なんだ……。
あ、びくびくしてる。