朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「元・男として育てられてた正真正銘女子です」


「はっ。お前が女子名乗るのって厚かましいよね」


「吹雪さん、今の言い方は赦せないよ」


「……ごめん」
 

指摘した私に、吹雪さんがバツが悪そうに謝った。


それを見ながら、愉快そうに苦笑する降渡さん。斎月は拍手する。


「吹雪さんに謝らせられるなんてさすが姉様。流夜兄さんの奥方に文句なしですね」


「ちょ―――――――――っと待ったああああああああああああああ!」
 

笑満から盛大なストップがかけられた。


「姉様って何⁉ 先生も出てくんの⁉ 現場ってなにだし元男なの⁉」
 

唯一、斎月の存在に対して何の情報も持たない笑満は、情報の大洪水を起こしているようだった。


笑満が叫んだとき、斎月の肩が大袈裟ではなく跳ねたのを私は見ていた。


……斎月の女性恐怖症って本当なんだ……。
 

あ、びくびくしてる。

< 263 / 295 >

この作品をシェア

pagetop