朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「………」
 

頼は無言で斎月を睨む。


反抗しない……無意味だと、本能的に悟っているとかだろうか。


斎月はすぐに頼にカメラを返した。データ消去早っ。


「あの、大和、さん? 神宮と大学の同期ってどういうことですか?」
 

先輩、まだ敬語が抜けなかった。年下って信じてもらえてないな……。


「流夜兄さんがアメリカ留学してるとき、私も同じとこにいたんです。私、生まれ育ちがアメリカなんで、ちょっと早めに大学入ってたんです」


「本当に男だと思われて女子生徒に襲われて、女性恐怖症が今も治らないんだよねえ」
 

え。吹雪さんも知っていた? 


流夜くんも斎月も、話していないようなこと言っていたけど……。ああ、流夜くんたち幼馴染の間で隠し事は意味がない、だったっけ。


「吹雪さん」


「ん? 僕がバラさないとでも思った?」
 

……なんだか吹雪さんの性格がいつもと違うな……。攻撃的と言うか……。


「……ふ、降渡さん? 吹雪さん大丈夫ですか?」
 

今にも血管が切れそうな顔の吹雪さんが心配になって、降渡さんに聞いた。

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