朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
それまで傍観者に徹していた龍生さんから、先輩が一撃を喰らった。
先輩の呼び方はもう染まっている。いつも微笑ましいなあ、と思う。
「いや、お前がすげえことほざいてっから、頭は正気かと」
「う……やっぱあのトシで神宮と並び称されるレベルって……ハンパないってこと?」
「そりゃあな。斎月の小娘は世界に通用するぞ。だがまあ――最初っから尻尾巻いてるよりゃあいいか」
頑張ってみろよ、と龍生さんは、今度は軽く先輩の額を小突いた。
「そうだよ、その勢いだ遙音! あんな女男なんざぶっ潰してしまえ!」
「お、おう……? 春芽にそんなテンションで応援されるなんてむしろ心配だけど、頑張るしかねえな!」
「僕も徹底的にお前の応援してやるから!」
吹雪さんのヘンなテンションにつられるように、先輩も勢いづいている。
こそっと降渡に訊いた。
「吹雪さんどうしたんですか?」
降渡さんは苦笑気味に答えてくれた。