朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「父さんが依頼したことだと聞きました。宮寺先生が、結果のことで悩まれていたとも、尊さんから聞きました。……そのような思いをさせて、すみませんでした」


「――そんな、謝るのは俺の方です。倫理違反のような真似をしたのは俺です」
 

私の嘆きの様子や、流夜くんと別れなければならなかった原因を作ったこと、宮寺先生が思い悩んでいることを尊さんから聞いていた。


それでも。


「いえ……。何があってもいつであっても、父さんはいつか知っていたことだと思います。そうしたら、流夜くんや私も知らずにはいられなかった。……それが今であったことは、せめてものことだと思います」


「………華取さん、」


「大丈夫です。流夜くんは『私』を否定しませんでした。そんな人だからすきになったと思うんです。私も、どうあっても流夜くんでないと駄目だと思い知りました。――だから、追うことを決めました。

……宮寺先生のされたことの良し悪しは、私にはわかりません。でも、本当の最悪でも、今で良かった。それだけは、真実(ほんとう)です」

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