朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「松生、日義。約束通りもらっていくから」
「じゃーこっちの約束も」
すかさずシャッターを切る頼。
卒業式に、と、頼が一方的にかけた約束があった。
「りゅーやくん、咲桜が固まり過ぎてて家族写真感がない」
「今日はゆるせ。今度撮ってもらうから」
「絶対ですよー。笑満、行っちゃうよ?」
「あ、咲桜! また連絡するから!」
「神宮―、落ち着いたら親父んとこ来いよー」
流夜くんは「わかった」と肯く。
そのまま本当に、硬直した私を姫抱きにして連れて行ってしまった。
先輩の呼び方で、卒業生だけはそれが『神宮先生』であったと知ったらしい。
――ちょっと待て。神宮先生には確か婚約者がいて、咲桜には彼氏がいて相手は社会人で……え。