朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
side咲桜
「~~~なんてことすんの! バカめ!」
「……在義さんに聞いてはいたけど、口悪くなったなあ」
「誰の所為だと! ってか父さんとは普通に連絡取ってたのか!」
「……それはまあ」
「うわーん! 父さんまでグルだったあー!」
本気で騒ぐ私の頭に手が置かれたので、恨みがましい瞳で睨んでやった。
硬直している間に流夜くんに攫われて、駐車場に停めてあった車に放り込まれた。
硬直が融けたのは今さっき叫ぶ直前で、気づいたらしっかりシートベルトもしめてあった。
「もう、いいかな」
「………なにが」
流夜くんの声は穏やかなのに、私の心は収まりきらない。
迎えに来てくれるくらいなら……。
「勝手にいなくなっちゃう人のになんかならない」
ふいっとそっぽを向く。
「……また気が強くなったな」