朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
悪態をつかれても、流夜くんは楽しそうだった。
二年前と少しも変わらない横顔を盗み見て、内心唸った。
くそう、やっぱりすてきだ。
……ちゃんと前みたいに接したいのに、大すきって連呼して抱き付くくらいしたいのに、二年の間で自分は変わってしまったのだろう。
正直になるって、どうするんだっけ? えーと……。
…………………………。
「……お花、ありがとう」
「うん?」
「資格、取れた日……」
「ああ。自分から離れた以上、出しゃばったら駄目とはわかっていたんだが……どうにも、黙ってはいられなくてな」
「そんなことしておいて離れてるなんて意味がわかりません」
「違いない」
流夜くんがふっと軽く笑った。
この笑い方は、どこだっけ?
……あ、蒼さんと初めて逢った日の笑い方だ。
それから、何度か見た。気の置けない人といるときの。
……流夜くんは全然変わっていない。
好きになった日の、そのままだ。