朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「……私?」
 

渋面を作る。


「俺を理由にしないで、咲桜の意思で、咲桜の命を肯定してもらいたかった。俺が、咲桜が生きていることを願うから、だけじゃなくて」
 

自分で自分の命を、肯定してもらいたかった。


「……そういう目的だったんだ」
 

私は、流夜の傍にいたいという自分の目的のために、大学へは行かずに資格をとって仕事に就くことを決めた。


きっかけは流夜くん。目的も流夜くん。


……でもそれは、自分の願いのため。


原動力が、流夜くんの傍にいたいから。


それでいい。それが私の生きていたい、生き方だと決めた。


「ああ。そしたら咲桜、ひと月もしないうちにそれ、クリアしちゃうからさ。無意識に、なんだろうけど」


「クリア?」

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