朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
それは、私と流夜くん、両方の肯定。
「……うん。生きてください」
一緒に、と口に出かかって、膝の上で手を組んだ。
――最後に言われた流夜くんの言葉は、ずっと引っかかったままだ。
「あの……私は、まだまだって言うか……流夜くんや斎月みたいに考えるのは出来ないよ。……やっぱり、斎月みたいにはなれない。……一緒に、い」
「あんなバカが二人いてたまるか。咲桜だから惚れたんだから。そこ、誤解するなよ?」
いられない? そう訊こうとしたら、流夜くんからすかさず訂正が入った。
いなくなる前の流夜くんは言った。
自分の隣にいるには、斎月くらいでないと駄目だと。
「……流夜くん? あの……どうして、迎えに来てくれたの?」
斎月みたいにならなくてはダメなんじゃないの?
流夜くんの答えがわからなくてそう訊いた途端、車が停止した。
気づけば、流夜くんのアパートの駐車場だった。
気づいた私は「あ」と声をあげる。
「ここ――」