朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「咲桜と、ここに帰って来たかった。――初めからわかっていたことだ。俺は咲桜しか愛せない。……愛してる、咲桜。だからこれからも、俺の手を選んでほしい」
繋ぐのも、護るのも、導くのも。
差し出された左手は流夜くんの答え。迷うことなく自分の手を重ねた。
「はい」
今度重ねたら、何があっても離れない。向かう場所があるなら、遅れたってついていく。
「うん」
右手が頬を捉えて、その瞳が近づく。
「ただいま、咲桜」
「おかえりなさい」
もう一生、何があったって離れてなんかやらない。
離されたって、繋がってしまうのだもの。
どうやってこの縁を断ち切ると?
……誰にも、させない。離されたって、また見つけるから。
「……咲桜、帰ろう」
「………うん」
流夜くんに手を取られて、一度は終わった場所へ、帰った。