朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「流夜くん、たくさん頑張ったんだね。……これからは、私がいるからね?」
ずっとずっと、傍にいるからね?
――あなたがゆるしてくれるなら。
流夜くんが小さく唇を噛むのがわかった。
私の血縁のこと、わだかまりはない。わだかまってはいない。
二年前、離れる前に総て溶けてしまった。
だからこうして、寄り添える。寄り添っていることを、幸せだと感じられる。
お互いに。
「ありがとう、咲桜」
もう、神宮家事件の当事者は流夜くんだけだ。
私は、県警本部長の一人娘で、流夜くんの――
「事件が動くことで、俺にも影響があることは確かだ」
「うん」
「咲桜にも、とばっちりはいくかもしれない」
「うん」
「でも、悪いけど――少しの間だけ、がんばってほしい」
「うん」