朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】



ずるずるずる。


「………」
 

トントントン。包丁の音が響く。
 

ずるずるずる。


「………」
 

カチ、ボッ。コンロに火がつく。
 

ずるず
「あの、覚える気あるんですか?」
 

背中に向けて睨むような声を飛ばした。


「まずは見て覚える、だろ」


「だからってこんな巻き付かれてたら動きにくい! 朝から頭に花咲いてますか!」
 

私の首に後ろから抱き付いて、背負うような恰好で学習中だった。ずるずるずる。


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