朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
と、流夜くんがカウンターの中にいる降渡さんを指さした。
横顔だけ見える降渡さんは、にっこりと笑みだけを返す。
それでも笑満のご両親の混乱は収まらないようだ。お互いの顔を見合わせている。
「本日は、笑満さんの進路に関係してくる、この遙音のことでお話をしたくお呼びしました」
「……笑満とオト――遙音が付き合っていること、ですか?」
生満子さんの問いかけに、流夜くんはゆうるり首を横に振った。
「いいえ。遙音の選んだ道にいるのは私たちです。それについてです」
「……道?」
憲篤おじさんが不審げに言ったところで降渡さんから声がかかった。
「りゅう、遙音。座っていただいたらどうだ? 短く終わる話でもないだろう」
「そうだな――こちらへ」
流夜くんに導かれて、笑満のご両親はテーブル席につく。
遙音先輩は一人、椅子を持って来て通路の方へ坐った。