朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「俺を早いうちに施設に入れてくれたのも、三人でした。申し訳ないことにあんまり合わなかったんですけど――施設を出た後は、ここに置いてもらった期間もあります。……確かに俺は、神宮たちを目指して、その道に進もうと決めました」
「……オト、ちょっと待ってもらってもいい?」
生満子さんは右手を挙げてストップをかけた。
「その……ちょっと色々、訊いてもいいかしら。あまり頭の中で繋がっていないの……」
「はい。なんでも」
流夜くんは肯く。
「神宮先生は……何者なんですか? 高校生から警察に関わっていたって……」
「あまり人に言ったことはありませんが、俺も遙音と似た境遇の生まれなんです。幼い頃家族を亡くして、親戚をたらい回しにされました。
そこを引き取ってくれたのが、華取咲桜さんの父親である在義さんの、当時は刑事だった友人でした。自分やあいつらの育ての親の一人です。
中学のときに留学しまして、向こうの大学で犯罪学の博士号をとれたので、その後は学者という立場で関わっていました」
「………」
「………」
無言の返事。