朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「………」
「……本業は、学者というわけですか?」
再び憲篤おじさんが問う。
「そうですね」
「では、あなたに――あなた方に出逢っていなかったら、遙音くんは事件に関わるような仕事に興味を持つこともなかったということですね?」
憲篤おじさんから流夜くんに厳しい声が向けられる。
流夜くんは慣れているように動じなかった。
遙音先輩も。一度口を引き結んだ。
「違います」
通る声音は先輩だった。
「興味ではありません」
「……と、言うと?」
「俺に出来ることです。神宮たちが俺にしてくれたことが、自分にも出来るなら、俺はしたい。それであって、興味や好奇心ではないです。
でも、神宮たちがいなければこの道へは入らなかったと思います。圧倒的な力で、俺の目の前で三人は事件を解決してくれました。すごく……悔しかったです。これほどの人が、いるのか、と」